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カテゴリー「083 のだめ」の57件の記事

2009年12月 6日 (日)

のだめの中のブラームス【31】

「コンポーザー・オブ・ザ・ブック」と題してコミック「のだめカンタービレ」全23巻を対象に、各巻の中で最も活躍した作曲家を選定する。選考基準は下記の通りだ。

  1. 「ノダダス」集計に基づき言及される回数の多さ。「ノダダス」は2006年12月23日の記事「のだめの中のブラームス【22】」を参照。こちら
  2. ストーリーメイク上の重要性。
  3. 独断。

<第1巻>ベートーヴェン ノダダススコア14点で文句無しの選定。のだめ千秋の出会いを彩る悲愴ソナタ、ハリセンとの関係が決壊したのもベートーヴェンの演奏中だった。そしてのだめと峰のスプリングソナタなど見せ場には事欠かない。2位モーツアルトは4票だが、のだめと千秋の2台のピアノのためのソナタで食い下がるも手数で圧倒される。

<第2巻>ベートーヴェン ノダダススコア7点。Sオケの演奏するのが第7交響曲ということもあって余裕の選定。真澄クンの挫折を乗せた第九交響曲も貢献している。

<第3巻>ベートーヴェン ノダダススコア21点の圧勝。Sオケ公演のエロイカと峰とのだめに施した音楽史の講義が物をいった。ベートーヴェンの三連覇である。

<第4巻>ドヴォルザーク ノダダススコア7点。2位のラフマニノフは6点だからその差はわずかだ。第4巻の象徴するニナルッツ音楽祭でのオケの課題曲だ。一方のラフマニノフは千秋真一に与えられた新たなピアノの課題曲だ。のちにシュトレーゼマンとの共演に結びつくがここでの扱いは大きくない。

<第5巻>ラフマニノフ ノダダススコア13点。千秋とシュトレーゼマンの共演する協奏曲が第5巻の主役であることから見て選定は妥当だ。

<第6巻>エルガー ノダダススコア8点。のだめと千秋のアンサンブルによるヴァイオリンソナタが貢献しての受賞。印象度から言っても妥当だ。

<第7巻>ブラームス ノダダススコア14点。R☆Sオケ初公演に向けた取り組みが語られる。各々が背負う葛藤とリベンジを描いて余すところが無い第1交響曲だ。

<第8巻>ブラームス ノダダススコア7点。14点のシューベルトに続く2位だが、第8巻はR☆Sオケの初公演が主役だ。途中ブラームス第1交響曲が延々と描写される。その間単語としてのブラームスが頻発するわけではないが、描写の厚みから言ってブラームスを選定する。

<第9巻>ストラヴィンスキー ノダダススコア4点。第9巻は混戦だ。ショパン、ベートーヴェンが5点。4点にもストラヴィンスキーのほかにシューベルト、シューマン、モーツアルトがいる。9巻はマラドーナ国際ピアノコンクール決勝、R☆Sオケ第3回公演、のだめ実家の豪華3本立てだから、票が割れるのはいたしかたない。型破りのペトルーシュカが決め手でストラヴィンスキーに決定だ。

<第10巻>ハイドン ノダダススコア10点。パリ編最初の見せ場、プラティニ国際指揮者コンクールでの課題曲だ。「ハイドンで試されるなんて光栄だ」の一言が決め手となった。

<第11巻>バルトーク ノダダススコア5点。プラティニ国際指揮者コンクール土壇場、最後に千秋がジャン・ドナデュウを振り切った「舞踏組曲」が決定打となった。

<第12巻>バッハ ノダダススコア22点。突然対位法に目覚めたのだめの描写中に頻発する。リュカくんの祖父とのやりとりが面白い。

<第13巻>バッハ ノダダススコア7点。13巻はつなぎのエピソードが多い。千秋はマルレオケ初公演に向け準備中。のだめはバッハを課題に出されて苦戦中だ。

<第14巻>ラベル ノダダススコア5点。マルレオケ初の演奏会が決壊した。それを象徴するのがボレロだ。6点のモーツアルトを押えての受賞だ。

<第15巻>モーツアルト ノダダススコア42点。記憶に新しいのだめ初リサイタル。モーツアルト好きのブノワ氏の影響で最多得点記録を更新だ。議論の余地の無い圧勝である。

<第16巻>ロッシーニ ノダダススコア2点。マルレオケ公式デビュに向けた準備の様子が延々と描写される。大半はウイアリアムテル序曲のリハーサルなので、点数は低いが妥当である。

<第17巻>バッハ ノダダススコア11点。ベートーヴェンを僅差で抑えての受賞だ。父の姿を見てパニックに陥った千秋をトマシモン率いるマルレオケが救う第4交響曲も無視出来ないが、千秋の弾き振りのインパクトには及ぶまい。

<第18巻>メンデルスゾーン のだめのリサイタル前半のヤマ場。得点的にはどの作曲家も抜け出せずにいるので、単純に印象だけで選定。

<第19巻>ベートーヴェン 清良を含めた若人たちのウィーンの休日。音楽的なヤマというよりウィーンの名所めぐりでの出現がポイントだ。ノダダスポイント9点でベートーヴェンに決着。

<第20巻>ショパン ターニャ、清良、ユンロンがそれぞれに打ち込んだカントナ国際コンクールの模様が中心だが、千秋に付き添われてオクレール先生の課題に挑むのだめのエネルギーにはかなうまい。ショパンがベートーヴェンを1ポイント差で交わす14点で受賞。

<第21巻>ラヴェル 文句なしの受賞。ノダダスポイント11点。孫Ruiちゃんと千秋の共演ト長調協奏曲の威力だ。

<第22巻>ショパン シュトレーゼマンとのだめの共演により他を圧しての優勝。のだだすポイント11点だ。

<第23巻>モーツアルト 文句なし。ソナタ31番で千秋の涙腺を決壊させたベートーヴェンは惜しくも次点。2人の気持ちを再確認させた「2つのピアノのためのソナタ」が決め手となって第15巻以来のモーツアルトに決定。

「のだめカンタービレ」完結の余韻さめやらぬ中、鹿島アントラーズのJリーグ三連覇を祝うガチンコネタだ。のだめの完結が11月27日と知った時から、三連覇成就のあかつきには、この記事と決めていた。

2009年11月29日 (日)

のだめの中のドヴォルザーク

のだめ系の記事は、既に55本の記事を擁するメインネタだ。一方現在我がブログ「ブラームスの辞書」では1年をかけてドヴォルザークに密着する試みを継続中だ。話題が「のだめの中のドヴォルザーク」に展開するのは半ば必然である。

  1. 初登場は4巻109ページだ。長野の夏を彩るニナルッツ音楽祭。優秀な学生によるオケをシュトレーゼマンが指導する。まさにその曲がドヴォルザークだ。千秋本人も「マニアックな」と唸り、峰くんに至っては「聴いたことない」とのたまうドヴォルザークの交響曲第5番である。二日酔いでフラフラのシュトレーゼマンが「この曲はドヴォルザークの田園」と紹介するだけあって、本家ベートーヴェンの田園と同じヘ長調である。千秋は師匠の代役として練習を振り実力の片鱗を見せる。
  2. 次は第7巻21ページ左下4コマ目。新しいオケの結成式をかねて慕零路でパーティー。その席上で演奏曲目の選定がカオスに陥る。どさくさに紛れて女性が「わたしドヴォルザークやりたい」「新世界」と口走って、周囲に「また~」とドン引きされている。
  3. 3つ目は千秋クンがプラティニ国際指揮者コンクールに向けて猛勉強する過程で現われる。第10巻74ページの4コマ目だ。ドヴォルザーク交響曲第9番の総譜を持った千秋が描かれている。次のページに総譜の一部が見えているのが第1楽章の137小節目だ。
  4. 4つ目はエポックだ。同じ10巻の147ページ目。指揮者コンクールの課題B「間違い探し」。15分だけスコアを見て、実際にオケを振る。オケが意図的に間違えた楽譜を見て演奏する中、8箇所の間違いを当てよという課題だ。ジャン・ドナデュウと千秋だけがパーフェクトに的中させるという死闘を象徴するツールになったのが、ドヴォルザークの交響曲第8番第一楽章である。相変わらず芸が細かいのは、149ページ5コマ目だ。千秋のバックに楽譜が描かれている。見えている一番左端は第1楽章の103小節目だ。記音Dのオクターブで全音符になっているのがA管のクラリネットだ。次の104小節目の頭に注目して欲しい。104小節目冒頭が前の小節からタイで繋がった四分音符になっている。正しくはここが付点2分音符のハズだ。千秋クンがそのコマで「付点2分音符のロ音が四分音符に」と見破っている通りだ。つまりここの背景の楽譜は、わざと間違えた楽譜になっているのだ。この課題の演奏は実際にCDになっている。千秋真一指揮R☆Sオケのブラームス交響曲第1番のCDの余白に入っている。実のところ私の耳では間違いなんてわかりはしない。
  5. 5つ目はプラティニ国際指揮者コンクール本選、コンチェルト演奏の課題曲をクジ引きで決める場面。第11巻21ページ。千秋はのだめに引かせてチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲に決まる。その直後に片平は自らドヴォルザークのチェロ協奏曲を引き当てる。

本日の企画も「のだめ」が完結していればこそ意味がある。

2009年11月28日 (土)

プランハザード

何とも大げさな私の造語。ブログ「ブラームスの辞書」は、今やほぼ3年分の備蓄記事を抱えている。どのような順序でそれらを公開して行くかこそが、管理人の最大の関心事になっている。通常向こう一週間はほぼ固まっている。ところが、まれに直前まで記事の公開日や内容が確定しないことがある。

それが「プランハザード」だ。

私は一昨年昨年と愛する鹿島アントラーズのリーグ優勝を祝う記事を優勝の当日公開してきた。これが最大のプランハザードだ。優勝するかどうかが判らない上に、決定日も不確定だ。優勝を祝う記事はそこそこ気合いをいれた記事だから、公開日が決まらないのは前後の記事の配置に重大な影響がある。

昨日完結したコミック「のだめカンタービレ」も、長い間プランハザードの王者だった。コミックの連載を見ずに単行本だけを読むことにしているから次の単行本にブラームスネタがいくつ存在するのかが、発売当日まで判らないのだ。ネタがあるか無いかで記事の配置に重大な影響がある。

だからコミック「のだめカンタービレ」が終わるとプランハザードが一つ消滅することになる。それは良いことのハズだったが、何だか寂しい。発売直前のドキドキも楽しみのうちだったからだ。

2009年11月27日 (金)

のだめの中のブラームス【30】

本日はコミック「のだめカンタービレ」単行本23巻の発売日。8年続いた「のだめ」が本巻をもって完結する。表紙の楽器はピアノだった。単行本第1巻の表紙に登場して以来2度目の採用だ。同じ楽器が2度表紙になるというのは例が無い。最終巻の表紙を、第1巻の表紙と同じにしたというのは、間違いなくオロボロスだ。

話が完結したからこそ出せる話題がある。「のだめカンタービレ」全23巻を通じて、もっとも登場した作曲家は誰かカウントした。カウントのルールは下記の通りだ。

  1. コミック本文上に文字で作曲家の名前が登場すること。
  2. 英文、和文を問わない。
  3. セリフ、絵、説明文、手書きを問わない。
  4. 「彼」などの代名詞があきらかに作曲家を指していてもカウントしない。
  5. 「シュベルト」「バハ」「ベトヴェン」は当然カウントの対象とした。
  • 第 1位 ベートーヴェン 100回 23巻通じて2位との差が3回とは接戦だった。
  • 第 2位 モーツアルト 97回 2度目のブノワ城が間に合えば逆転だった。
  • 第 3位 バッハ 60回 しぶとく3位に食い込んで音楽の父の面目を保った。 
  • 第 4位 ショパン 50回 主人公がピアニストだから当然の順位だ。
  • 第 5位 ブラームス 42回 前半の貯金で何とか。
  • 第 6位 ラヴェル 41回 ピアノ協奏曲とボレロのご利益だ。
  • 第 7位 シューベルト 31回 「シュベルト」もここに集計。
  • 第 8位 シューマン 25回 
  • 第 8位 ラフマニノフ 25回 これもコンチェルトのおかげ。
  • 第10位 リスト 24回 
  • 第11位 ドビュッシー 20回
  • 第12位 チャイコフスキー 17回
  • 第13位 ハイドン 12回
  • 第14位 ドヴォルザーク 10回 こんなモンです。
  • 第14位 バルトーク 10回
  • 第16位 エルガー 8回
  • 第17位 マーラー 7回
  • 第18位 ロッシーニ 6回 
  • 第19位 シベリウス 5回
  • 第19位 ジョリベ 5回
  • 第19位 ストラヴィンスキー 5回
  • 第19位 プーランク 5回
  • 第19位 ワーグナー 5回 

1位ベートーヴェンと2位モーツアルトが接戦で驚いた。ブノワ城で荒稼ぎのモーツアルトに対して、ベートーヴェンは満遍なく票を重ねた感じだ。指揮者とピアニストが主人公だからこうなる。バッハの健闘はさすがという他は無い。 

16巻完結時点での集計と比べると興味深い。

本日のこの記事はカテゴリー「083 のだめ」の54本目の記事だ。随分記事を稼がせてもらった。また2006年10月の「のだめ」テレビ放映とともにブログ「ブラームスの辞書」のアクセスが急増したことも良い想い出だ。

ありがとう「のだめカンタービレ」

2009年8月10日 (月)

のだめの中のブラームス【29】

本日はコミック「のだめカンタービレ」単行本最新巻、第22巻の発売日だ。表紙はシンバルだった。

まさに瞬間芸だ。全188ページの中でたった一箇所ブラームスが現れる。119ページに「ブラームス交響曲第4番」と書かれている。オープニングプログラムの「歌劇ドンジョヴァンニ序曲」でさえその描写には3ページが割かれているのに、「ブラ4」は1ページ、コマ数にして3コマでしかない。描かれているのがブラ4のどこの場面であるかの類推さえ許さない程、徹底的に個性が抜き取られている。

作劇上の配慮により、つまり著者の特権により本巻に限ってブラームスは刺身のツマだ。第22巻冒頭から、のだめが出演する演奏会のことは話題にされていながら、メインプログラムが「ブラームスの交響曲第4番」であることは、119ページに至るまで徹底的に隠されている。のだめこと野田恵のシュトレーゼマンとの共演が、第22巻を貫くテーマになっているから、まさにその演奏会のメインプログラムであろうと、のだめが弾いたコンチェルトにはかなわないということだ。

そのことをもってのだめの弾くショパンのコンチェルトの出来映えが素晴らしかったことの、間接的な描写になっていると見たい。

2008年3月20日 (木)

クラシカルなコミック

最初の発表から20年以上続いているコミックがある。あるいは既に最終回が公開されて20年以上経つのに未だに人気が衰えないコミックもある。その作品が世代を超えて人々に訴えるものを持っているというこのなのだと思う。

今をときめくコミック「のだめカンタービレ」はどうだろう。単行本はバカ売れし、テレビアニメ化されればこれも大ブレークし、実写版も視聴率を荒稼ぎしている。大枚はたいて海外ロケが敢行されるのは、ひとえに視聴率が見込めるからだ。

クラシック音楽業界も、いわゆる「のだめ特需」に沸いている。

これが、一時のブームで終わるのか、ずっと続くのか関心を持っている。ストーリーの流れから見て、いつの日か必ず最終回がやってくる。その最終回の後も長く語り継がれるかどうかは、ブログ「ブラームスの辞書」にも影響がある。カテゴリー62番に「のだめ」を設定して既に50に近い記事が堆積した。もし「のだめ」が人々から忘れ去られてしまったら、そのカテゴリーの記事が浮いた存在になってしまう。今でこそアクセス面では多大な貢献をしてくれているカテゴリーだが、20年後に読まれた場合、「はぁ?」となってしまうのか、やっぱり「なっるほど」になるのかの差は大きい。

おそらくブラームスネタは20年後に読まれても「なるほど」「ふむふむ」ということになるだろう。ブラームスの音楽が急速に廃れることはあるまい。ブラームスの作品がバッハの作品と同等の永続性を既に獲得していると断言しても、ブログ炎上のキッカケにはなるまい。つまりクラシックとはそういうものだ。

「のだめカンタービレ」がコミック界のクラシックになってくれることを祈りたいが、ひと様のコミックの心配より、ブログ「ブラームスの辞書」が20年続くかどうか心配をするべきかもしれない。

2008年3月13日 (木)

のだめの中のブラームス【28】

コミック「のだめカンタービレ」第20巻の発売日だ。

118ページにブラームスが出現する。オクレール先生の課題曲を見せろと千秋に言われて応じるシーンである。左上のコマに楽譜の表紙が描かれている。「ブラームスの小品集」であることは確かだが、なんだかじらされる展開だ。118ページだから作品118かもといけない想像をしてしまう。

次は142ページ。課題に追われるのだめの姿をみて、過去の自分の経験にダブらせる場面だ。当然これは第一交響曲だ。

あーあ結局じらされて曲はわからずじまいかと諦めかけた後半ロスタイム、182ページにお宝が出現する。右下のコマに開いたままの楽譜だ。のだめは楽譜を逆さに見る位置にいる。その曲は紛れも無くブラームスだ。ズバリ、ラプソディー変ホ長調op119-4の冒頭である。のだめが手を置いているのが1ページ目で、見えているのが2ページ目だ。中ほど左のコマの中に手書き風の文字で「4つの小品」とあることとも一致する。作品119は4つの小品で出来ている。あいかわらず芸が細かくて感心した。こんなに小さな楽譜なのに手を抜いていない。

ここで感心してばかりいないのがブログ「ブラームスの辞書」だ。

119-4のラプソディは後期の小品集のラストを飾る曲だ。どんな出版社の楽譜でも大抵最後に載っている。コミックに描かれた楽譜を見る限りでは、op119-4より後ろのページが厚過ぎる。ラプソディーは後期の小品の中では規模の大きい曲だが、楽譜のページにすれば7ページに過ぎない。開いているのが、1、2ページだから、後ろに残るのは5ページ、紙にすれは3枚だ。描かれた残りページの厚みは3枚には見えない。楽譜だから上製本ということはないハズで、この厚みは不自然だ。考えられる落としどころは、巻末に解説か注釈がついているのかもしれない。

ここでのだめが千秋の練習を拒否するとは残念だ。うまくいけばブラームスについての千秋クンのアナリーゼが聞けたかもしれないからだ。

オクレール先生からの課題になっているショパンやベートーヴェンのソナタに、コミックのだめ風なアナリーゼが施されているので、この先ブラームスでもそこはかとなく期待が持てる。21巻の楽しみにとっておこう。

2007年9月10日 (月)

第2巻表紙の謎

コミック「のだめカンタービレ」第2巻の表紙について以前から変だと思っていたことがある。ブラームスには関係ないのでずっとあたためていた。

のだめが持っている楽器は、ヴァイオリンだ。ピツィカートを試みるのだめの右手の指、あるいは肩あての形状など芸が細かいのは、毎度の事ながらさすがである。

この場面でのだめの左上方に譜面台がある。その上に置かれている楽譜は、ヴァイオリンの楽譜ではない。明らかに総譜である。ガッシリとしてお値段の張りそうな譜面台ではあるが、その高さからみて指揮者用とは思えない。

構図からはのだめが腰掛けているのか立ち上がっているのかも判断しにくいけれど、仮に立っているとすると、のだめの後方、つまり画面右枠外に指揮者がいて、譜面台上の総譜を見ているとも解し得る。そうなると、のだめを独奏者とするヴァイオリン協奏曲という想定も成り立つ。総譜がヴァイオリン協奏曲に見えないのが難と言えば難である。

やはり「演奏の合間にヴァイオリンで戯れるの図」である公算が高い。

本日9月10日は、「のだめ」こと野田恵のコミック設定上の誕生日だ。

2007年9月 4日 (火)

桁数制限

ブラームスが自作の楽譜の上に記したダイナミクス記号には桁数の制限がある。ズバリ3桁である。「p」「f」は一桁。「mf」「pp」は2桁である。「ppp」「fff」が3桁だ。つまり「pppp」や「ffff」は存在しないということだ。「fp」系の用語に目を転じても4桁は存在しない。「ffpp」はあり得ないということだ。

著書「ブラームスの辞書」の中では、これらの現象がブラームスの読譜への配慮であると位置づけている。人間が一目でハッキリと認識できる桁数は3だ。4桁になると人によっては5桁との区別が怪しくなる。

この事実を鮮やかに証明した実例がある。コミック「のだめカンタービレ」第17巻146ページだ。千秋真一の父・雅之の指が6本描かれている。のだめ読者の中には気付かずに通り過ぎた人も少なくないと思われる。指は5本であるという先入観も手伝っていたと思われるが、5本と6本の違いが一瞬で見分けにくいことは明らかである。

http://brahmsop123.air-nifty.com/sonata/2007/02/post_8c86.html

ブラームスの採用した桁数制限には、このような背景がある。ブラームスは演奏の経験からこうした自主ルールを設けていたことは確実と思われる。

2007年8月25日 (土)

ばきゅん

「恋の始まる音」だ。

コミック「のだめカンタービレ」第18巻。レッスンに行き詰まる中、千秋と夕食をともにした孫Ruiちゃんは、思いあまって音楽家としての自分のことを千秋がどう思ったかを問う。千秋の答えは誠実だ。「凄いと思った」「若いのにキチンとした音楽がある」と続ける。孫Ruiちゃんも巨匠シュトレーゼマンとの競演が負担だったと真情を吐露する。

不意に背景に「ばきゅん」が描かれる。111ページだ。孫Ruiちゃんの「何これ」の自問とともに「ばきゅん」が堰を切ったように溢れだす。孫Ruiちゃんが千秋に恋した瞬間だ。「のだめと会うから」と言われて瞬殺されてしまったことからも恋の始まりだと解る。

恋のはじまりは音になるのだろうか?ブラームスの恋は作品に現れてはいないと思う。特定の作品をクララやアガーテと結びつける試みは盛んだが、ブラームスが自らの恋をストレートに作品に反映したことはないと思う。歌手やピアニストと恋に落ちる。その時期に歌曲やピアノ曲が作曲されたとしても、それは「恋がキッカケ」になったことを疑い得る程度だ。「恋が描かれている」とは断言出来まい。「恋をしていた時期に作曲したこと」はもちろんあると思うが、作品に恋が描かれていることとは厳密に区別しなければなるまい。可能性があるのは、恋が過去形になったあと、その回想がかすかに反映することは、あったかもしれない。しかし、現在進行形の恋そのままの描写は考えにくい。

「恋は人を詩人にする」という側面は確かにあると思う。あるとは思うが、ブラームスに限って申せば、恋を含む自らの生活上の出来事が、作品にストレートに反映する程単純ではないと感じている。後世の愛好家はいかようにもこじつけるだろうが、軽率に関係づけるべきではないと思う。

よっぽどの証拠が添付されるべきだ。

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ブラームスの辞書写真集

  • Img_0012
    はじめての自費出版作品「ブラームスの辞書」の姿を公開します。 カバーも表紙もブラウン基調にしました。 A5判、上製本、400ページの厚みをご覧ください。
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