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    2012年3月28日から4月4日まで、次女の高校オケのドイツ公演を長男と追いかけた珍道中の記録。厳選写真で振り返る。

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カテゴリー「740 昔話」の40件の記事

2017年2月 2日 (木)

モルダウ経験史

中学3年の秋に、クラス対抗合唱大会で歌ったのがモルダウ体験の始まりだった。ほどなくクラシック愛好家の常識として交響詩「モウダウ」に触れ、連作交響詩「我が祖国」の成り立ちを知識として吸収した。興味の中心はベートーヴェンであったにも関わらず、お気に入り側に属する曲だった。

大学入学後、ヴィオラを始めて、やがてブラームスに傾斜していったが、4年の現役の間に何度か定期演奏会の候補曲になったこともあり、ヴィオラのパートを中心に細部を研究した。
ヴィオラおいしくて難しいというのが当時の感想だ。フルートが走り出してヴァイオリンがピチカートを添える冒頭から数えて24小節目でG線第一ポジションの「H音」を放つ瞬間が大好きだった。せせらぎだったモルダウ源流が、深さと幅を増す描写とみて間違いあるまい。ほどなく16分音符単位での「C音」との交代による波立ちも始まる。
やがて練習番号A36小節目に至って、トライアングルのチャーミングな登場を合図に、冒頭のフルート主題を引き継いで、名高いヴァイオリンその他の旋律を準備する。このあたりヴィオラ冥利に尽きる展開だ。真打の旋律の下でずっと水面下の流れであり続ける快感は相当なものだが、難しくもある。
しかし、この程度が私のモルダウ体験の全てだった。

2016年5月25日 (水)

ウルトラマン

1966年7月17日から放送された、「特撮変身巨大ヒーロー物」の嚆矢。当時小学校1年だった私ももちろん夢中になった。お化け視聴率をたたき出した伝説には事欠かない。これをキッカケに「巨大ヒーロー」が続々と登場した。人類のために宇宙人や巨大生物と戦うのだから、どこかでマグマ大使とバッタリ鉢合わせしないかと真剣に悩んでいた。大人の事情を全く考えずに、手に負えない敵が現れたら協力すればいいのにとマジで思っていた。だからウルトラセブンとウルトラマンの共演が実現したときは、心から嬉しかった。

これらのヒーロー物は完全に一つのワールドを形作っている。ウルトラマンの世界はそれだけで完結していて、マグマ大使は入り込む余地がないのだ。仮面ライダーやサンダーバードだって同じだ。

大作曲家も事情が似ている。特定の個人にとことんのめり込んでいると、あたかも独立の世界が存在しているような錯覚に陥る。ブラームスに傾倒するあまり、他の作曲家が見えなかったり聴けなかったりする。身に覚えありまくりだ。確かに大作曲家と目される面々は、強烈な個性が宿っているのだが、生存当時は社会から超越したり隔絶されていた訳ではないのだ。特定作曲家の作品全集がCDや楽譜で手軽に入手出来るという環境は、よく考えると不思議だ。

ブラームスの生涯を詳しく観察すると、大作曲家のエピソードが必ず存在する。ブラームスの時代には既に亡くなっていた人もいれば、同世代を生きたライヴァルたちの痕跡が記されている。ウルトラマンとウルトラセブンの共演みたいなものだ。

2016年1月18日 (月)

卒業演奏

1982年2月、大学4年の私は団内の室内楽演奏会においてブラームスのクラリネット五重奏のメンバーとして演奏を披露した。同期のクラリネット吹き、チェロ弾きと企んで、前年にはモーツアルトのクラリネット五重奏曲を演奏していたから、最後にブラームスで仕上げたいと臨んだ第一楽章だった。

メンバーは全部男性で以下の通り。

  • クラリネット 私の同期。4年生だが工学部の大学院に進学予定。悲愴交響曲での華麗なリードミスで一生語られる実直な男。
  • 第一ヴァイオリン 私が初心者としてオケに入り、1からヴィオラを教わった2コ上の先輩。元コンマス。工学部の大学院生。
  • 第二ヴァイオリン 3年で私がヴィオラトップだったときの1コ上の先輩。元コンマス。医学部5年生。
  • ヴィオラ 私。
  • チェロ 私の同期。4年生だが工学部の大学院に進学予定。

早生まれの私は、この中では一番年下だった。なのに他のメンバーは医学部やら大学院やらでみな、大学に残る中、最年少の私だけが卒業だった。だからこの演奏はただただ私だけの卒業演奏になった。

男5人のマジな練習を繰り返して大好きなブラームスに臨んだ。私が大学オケで記した最後の演奏が、ブラームスのクラリネット五重奏だった。実はオケで最初の演奏は、1年冬のブラームス第二交響曲だった。オープニングの「マイスタージンガー」やサブのラヴェル「マ・メール・ロア」にはステージに乗らなかったから、ブラ2が正真正銘のデビュー。つまり私の大学オケ生活は、第二交響曲で明けて、クラリネット五重奏曲で締めたということだ。

果報者というべきだろう。

2015年6月 5日 (金)

下心六重奏団

1981年8月大学4年で最後のオケ夏合宿に臨んだ私は、恒例の室内楽演奏会でブラームスの弦楽六重奏曲第1番第一楽章をメンバーの1員として披露した。周知のとおり、この六重奏曲はヴァイオリン、ヴィオラ、チェロが2本ずつで、6名の弦楽器奏者を必要とする。当日のメンバーは男子3名、女子3名というものだ。各々の楽器のセカンドが全部女子だった。

  • 2ndヴァイオリン H嬢 教育学部2年 
  • 2ndヴィオラ D嬢 薬学部3年 ホントは1stの私より相当うまい。
  • 2ndチェロ A嬢 園芸学部1年

という具合。男子は以下の通り。

  • 1stVn Nord氏 医学部4年
  • 1stVa 私 人文学部4年
  • 1stVc Koza氏 人文学部3年 ドヴォコンのソロいけるくらい。

男子は、私を除いて名人。チェロのトップとコンマスだ。とはいえ私だって6月の定期演奏会でトップを降りたばかりだからまだまだ行けた。だからひとまず様にはなった。

まあしかし、目的は演奏の披露よりも練習と、その後のお茶みたいなアンサンブルだった。誰がつけたか「下心六重奏団」とは秀逸なネーミングだ。亡き妻はこの中にはおらず、聴衆として演奏を聴いていた。そればかりかこの中からカップルは発生していない。イメージよりはずっとピュアだった。

青春の六重奏曲。

2015年6月 1日 (月)

麻雀のBGM

学生時代にはよく麻雀をした。

練習の後に、たまに酒を飲むか麻雀をするかという流れになった。6対4でお酒が多かったかもしれない。お酒を飲むのは安い居酒屋か誰かの下宿のどちらかだったが、麻雀は誰かの下宿だった。場所代がもったいないからだ。

練習後食事を早々に切り上げて麻雀だ。コンビニでカップ麺やジュースを買い込んで会場となる下宿になだれこむ。会場となる下宿はどこでもという訳にはいかない。麻雀の音は非常にクレームに繋がり易いからだ。いきおいいつも同じ下宿ということになる。

やるとなったらメンバー集めは練習中に始まる。麻雀をやるなどと大っぴらに相談出来ないから、仲間内では、麻雀のことをカルテットと言っていた。それでも5人や6人集めるのは容易だった。降り番の2人はカップ麺を入れたりジュースを注いだりの係だ。時には8人で2卓を囲むこともあった。こういうときは「オクテット」と称したものだ。20時から始めるときには「8時チューニング」などと言い合っていた。始める前のあのかき混ぜも「チューニング」と称していた。クレームの原因の一つがこのチューニングであることは間違いないのだが、プレーヤーの発する奇声の方が深刻だった。上がれば上がったでうるさいし、降りれば降りたで大騒ぎ。当たろうものなら半狂乱だ。

サイレンサー代わりに音楽を流した。さすがにオーケストラだけあってみんなクラシックだ。下宿の主の好みが色濃く反映していた。モーツアルトが一番人気だ。次回の定期演奏会の曲目を流すこともしばしばだった。

腕前はみな似たりよったりだ。楽器のテクニックと麻雀の腕前の間の相関関係は薄いとだけ申し上げておこう。

興が乗れば徹夜は当然だった。明け方までは意外と平気なものだ。明るくなってから授業の1コマ目までの過ごし方が懸案だった。明るくなってから寝てしまった挙げ句に起きられずに欠席という悲劇が後を絶たなかった。明け方はみんなトイトイしか狙わなくなるので純粋な運試しになった。

大学入学後、ブラームスの弦楽六重奏曲第1番をはじめて聴いたのは実はマージャンのBGMとしてであった。

2014年4月30日 (水)

さようなら蒸気機関車

1969年の夏、小学校4年だった私の夏休みの自由研究のタイトルだ。

父の仕事の関係で1966年9月に千葉に転居した。当時まだ蒸気機関車が走っていた。機種はD51、C57、C58、8620型の4種類だ。東京では姿を消していた蒸気機関車が何と社宅の窓から毎日見放題で、心の底から嬉しかった。

ところが、その蒸気機関車が1969年10月に姿を消すことがわかった。国鉄は千葉県の「無煙化」が実現すると胸を張った。「えーっ」とばかりに勢いで自由研究のテーマに選んだ。千葉鉄道管理局まで父と2人で取材に出かけた。2週間くらいかかって日本の鉄道史めいたレポートを仕上げ、千葉県の鉄道の歴史を記述した。模造紙に年表も書いた。市主催の秋の作品展で「特選」を受賞した。学年で2人だけの栄誉。全校生徒の前で表彰された。

今から45年前の自由研究のテーマを覚えているというのも凄い。私の鉄道好きは当時から変わっていない。父のアシストも凄かった。資料の収集から選び方まで、唖然とするようなのめりこみ方だった。ブログの鉄道特集は父のDNAの仕業だ。

鉄道特集の中「蒸気機関車」ネタを連発してきたがこれで一区切り。

37代引退公演・第21回スペシャルコンサートまであと11日。→こちら

2014年2月 4日 (火)

鉄道連隊

千葉に長く住んでいるから半ば当たり前になってもいるが、千葉は旧日本軍の遺構が数多く残されている。歩兵学校、戦車学校、高射砲学校などの跡地が文教施設に転用されている。私の母校は小中高とも軍隊の跡地に立っていたし、長女の高校も次女の高校もそうだった。鉄道連隊跡もそうした遺構の一つだ。

第一連隊は今のJR東千葉付近。小学校のころ遠足に出かけた千葉公園は、鉄道連隊作業場の跡地だ。缶蹴り遊びで身を隠したのが橋脚の跡だったりする。そこから少しはなれたところに旧国鉄のレールセンターが戦後まで使われていた。私が通った高校の裏にあって、たまにディーゼル機関車が貨車を挽いて走っており、授業中に汽笛が聞こえた。

第二連隊は今のJR津田沼駅前。千葉工業大学の正門が当時の連隊の正門だったという。第一と第二の両連隊を演習線が結んでいた。JR総武線よりはかなり内陸寄りだ。道路として妙に直線が続くその廃線跡の舗装道路を自転車で走り回ったものだ。千葉県内の鉄道は、JR私鉄とも鉄道連隊の演習線が起源になっているケースが多い。

鉄道連隊の創設は1896年だ。日清戦争後の大陸進出をにらむ意図があったことは明らかだ。関東大震災後の復旧に活躍したとも言うが、本来の任務は戦場や征服地における鉄道の敷設や復旧にある。退却する軍隊は鉄道を破壊するのが鉄則だったからだ、こうしたコンセプトはドイツを見習ったものとされている。軌道幅、機関車などの機材はドイツの影響が大きいそうだ。

映画「戦場にかける橋」で有名な泰緬鉄道は、千葉や津田沼から転営した第5連隊と、第9連隊が敷設したものだ。タイとミャンマーを結ぶから泰緬だ。捕虜を使役したことは事実だが、主体はあくまでも日本側。映画のように爆破されることはなく、現在も使用されている。ビルマ側から着工したのが第9連隊で、タイ側から第5連隊が工事を進めた。クワイ川(現地ではクウェイに近い)に架橋したのは第5連隊だ。全長428kmをわずか10ヶ月で完成にこぎつけた。ドイツの影響というなら「第五、第九」と聞くとドキドキしてしまう。

2011年10月27日 (木)

ムシデン

「muss i den」と歌い出されるドイツ民謡である。「さらば、さらば我が友。しばしの別れぞ今は」という訳詞で中学校の頃習った覚えがある。たしか「別れの歌」という題だったが、何故かとても気に入っていた。「ローレライ」に匹敵する知名度と申しても過言ではない。別れといっても嫋々の短調ではない。カラリと格調高い長調がかえって心に沁みる。

この歌もまた「別れの歌」の系譜上にある。訳あって旅立たねばならない事情が踏まえられている。

元はシュヴァーベン地方の民謡らしい。今はドイツを代表する位置づけになっている。ブラームスの故郷ハンブルクは港町。客船が岸壁を離れるとき、きまってこの「ムシデン」が演奏されたという。

2009年4月 7日 (火)

Gaudeamus

「だから愉快にやろうじゃないか」とタイトリングされる学生歌。13世紀ボローニャでの成立らしい。

私の高校1年か2年の頃の話をする。

音楽の時間に、先生が手刷りの楽譜を配って歌を教えてくれた。タイトルは「学生歌」だった。「ドイツ民謡」とされていた。歌詞は「我が行く道は遙けき彼方」とはじまっていたと思う。

 配られた楽譜はとっくの昔に紛失しているが、歌詞はよく覚えている。ガチガチのベートーヴェン少年だったから、ドイツ民謡というだけでワクワクして曲が気に入ったのだと思う。ずっと口ずさんでいた記憶がある。

時が流れ大学2年の春になった。大学に入って始めたヴィオラも2年目にさしかかり2度目の演奏会の準備が始まった。ベートーヴェンの英雄交響曲をメインに据えた演奏会のオープニングがブラームス大学祝典序曲になった。当時まだベートーヴェン大好きでブラームスへの極端な傾斜も見られなかった私は、英雄交響曲の個人練習に夢中で、明らかにブラームスは準備不足だった。ロクにレコードも聴かないまま臨んだ初めての全体練習が、大学祝典序曲のラスト「マエストーソ」にさしかかって驚いた。

高校時代に歌った学生歌の旋律そのままだった。実は大学祝典序曲の最後を飾るこの旋律こそが、本日のお題「Gaudeamus」である。「ドイツの学生歌」として日本に入ってきたのだが、最古の大学都市ボローニャに由来する歌だったのだ。

本日、長女念願の高校入学。だから愉快にやろうじゃないか。

2008年12月15日 (月)

たき火

幼い頃庭でたき火をした記憶がある。火鉢には灰は必需品だし、庭の落ち葉の処分をかねていたのだと思う。お芋だって焼くこともあった。普段寒いといってなかなか外に出てきてくれない大人が出てくるので、楽しかった記憶がある。

童謡「たき火」はこうした情景の描写だ。

「垣根の垣根の曲がり角」と歌い出されるあの歌である。ドレミで歌うと「ソラソミ、ソラソミ」「ドレミミレー」となる。「ソラソミ」の連続がとても印象的だ。

ブラームスにも「ソラソミ」の連続がある。

インテルメッツォハ長調op119-3だ。例によって旋律はソプラノに来ない。弦楽四重奏でいえばヴィオラのあたりに旋律がある。

冒頭はブラームス独特の拍節のズレを楽しむ音のパズルだが、「ミソラソーミ」「ソラソミ」「ソラソーミ」と聴こえる。「ソラソミ」が3度続くのだ。

インテルメッツォハ長調op119-3「たき火」である。

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