変奏曲の伝統
新しいCDプレイヤーがきっかけで、オルガン作品に親しんでいる。オルガン作品のうちキリスト教と関係がないものがオルガン自由曲と呼ばれる一方で、プロテスタントの讃美歌が題材に取られるケースにもおびただしい実例がある。
庶民の信仰を助けるために音楽の力、とりわけ歌を重用したルター。彼に起因するかなりな数のコラール。カトリックにおいては専門家による歌唱が常識だった賛美歌を庶民に開放する過程でおきた「簡素化」「一般化」がコラールの起源であること周知の通りだ。一旦「簡素化」「一般化」が行われたコラールを素材に。オルガンによる音取り装飾を目的としたコラール前奏曲という段階。賛美歌をコラールにする手続きを第一段階とするなら、こちらは第二段階だ。さらにはそのコラールを元に華麗な変奏を紡ぎ出すというコラール変奏曲まで続く。
それらどれもが変奏と感じる。古典派、ロマン派と時代が下るにしたがって、変奏作品は全欧州に拡大するが、元はコラールのいじくりまわしに端を発しているのではないかと感じる。
ブラームスを変奏の大家と評価することはすなわち、プロテスタント伝統のコラール変奏の継承者という位置づけの再確認に等しい・・・のではないか。
最近のコメント